【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
4.潤□恋人ごっこ□
4.潤□恋人ごっこ□
日曜日はどこまでも快晴だった。昨日よりずっと海日和だろう。
土曜日に実家に泊まり、朝早く起きて会社へ向かおうとしていた。休日出勤までする必要はないのだが、月曜日はモデルの仕事が入っているため会社に寄れそうにもない。
本業はモデルではなく、あくまでもS.A.Kのいち社員。本業を疎かにしたらそれこそ本末転倒だ。
朝起きてから菫の窓に何個か小石をぶつけた、が…。菫は顔を見せようとはしなかった。
また怒らせたか…勝手に鍵を預けるような真似をして…あいつの事だから今日にでも朝1で鍵を返しに来るだろうと思った。
なんせ真面目な女だ。捨てておけと言っても、その辺に捨てれる性分ではあるまい。
燦燦と光る太陽を直視したら欠伸が出て、両手を伸ばす。ふぅ、気持ちの良い朝だ。
車を出そうとしたら、家の前でうろうろとしているおじちゃんの姿が目に入った。こんな朝早くから珍しい。
「おじちゃんーおはよー、何してんの?」
声を掛けたら、真っ青な顔をしてこちらへ向かってきて俺の肩を掴む。思わずびっくりしてしまう程、おじちゃんは焦っていた。
いつも冷静な人なのだ。その人がこんなに焦っている姿は初めて見る気がする。
「潤くんッ!菫を知らないか?!」
「菫……?」
俺の肩を掴む腕の力が段々と強くなっていく。
「昨日の夜変な事を言い出したかと思えばッ……
朝早くからどこかへ行ってしまったみたいなんだよッ!」
「コンビニかどっかじゃないんすか…?」
「それが部屋が……荒らされたようになっていて…
キャリーケースも無くなっていて、洋服も何着かなくなっているようなんだ!」