私に恋する可能性



…どうしよう


めちゃめちゃ嬉しいよ


顔が熱を持っていくのを実感して思わず両手で顔を覆う



「何してんの?」


「…多岐くんのせいです」


「…照れてんの?」


「…」


くい


!?


不意に顔を覆っていた両手を掴まれ、どかされた


思ったより近くにあった多岐くんの顔を凝視する


「…」

「…」


謎に目が離すに離せなくなり2人揃って見つめ合う羽目に


だんだんと赤みと熱を帯びていく私の顔


先に目を逸らしたのは多岐くんだった


私の手を離し、一歩後ろに下がる


「はぁ…間部ひなたって直球すぎてたまにかなり来るね」


…へ?


直球?

来るとは?


多岐くんの言った言葉がなかなか理解できず

?がたくさん浮かぶ


「…なんでもない。帰ろうか」





いつのまにか絆創膏が丁寧に貼られた足元



私のノロノロとした歩きに合わせて隣を歩いてくれる


もう手は繋がっていなかったとしても…


私のドキドキは変わらなかった


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