私に恋する可能性



それから2時間くらいかな


やっと会場作りが終わり、ひと段落ついた


日はすっかり落ちている


「今日はここまでです。文化祭は明後日です!あとちょっとみなさん頑張りましょう!」


顔もわからなかった実行委員メンバーだけど
こう毎日顔を合わせていると馴染んでくる


なんか若干一名、犬の耳と尻尾が見える人がいるけど


「ひなたー!帰ろ!」

「方向違うよ私達」


みっちゃん達と同じ方角でしょ?

真逆だよ真逆


「えー」

「ほら帰った帰ったぁ!」


ブーブーしてる蓮斗くんを追い出す


「じゃあなー代表」




的場くんが通り過ぎ様にそう呟いた


「じゃあね的場くん!」


軽く手をあげてくれた


おおーなんか仲良くなれたかもしれない

実行委員も悪くないねぇ


さ、私も帰ろっ!


文化祭まであと少し



多岐くんと一緒に回りたいなー


なんて


無謀な話だけどね



一緒に帰ることすらできないのに…



一緒に帰る







昨日の出来事がフラッシュバックする


自分の薄い唇に触れる





ほんと


なんであんなことしたんだろう



私も私だ


あの後、いつも見たいにキャーキャー言えばよかったのに


言えなかった…



受け止めてしまった


多岐くんが望んでいない受け止め方をしてしまった







帰ろ




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