私に恋する可能性
まあ、1番の問題はその後なんだよな
あの後、間部ひなたを家まで送るって
なんであんなこと言ったのか
最近の俺は自分に制御をかけられなくなっていた
まあその結果最悪なことになるんだけど
あいつの家は真っ暗で
人の気配がなかった
当然のように両親がいないと言うこいつを見て、なんだか嫌に変な気分になった
普段の迫力のあるこいつが、常に笑っているこいつが
幸せなやつなんだろうなって思っていた間部ひなたが
この暗い家に毎日のように帰っているのだと思うと
なぜか息苦しくなった
まあ…いいか
俺には関係のないことだ
家まで送り届けたんだし、これ以上こいつといるとまた俺が壊れてしまいそうだ
おかしなことする前に帰ろう
そこで帰れば良かったんだ…
間部ひなたが俺を引き止めなければ…
あんなことはしなかった
「あの、本当にありがとうございました。多岐くんがあの電車に乗ってくれててよかった」
別れ際に確かそう言った
まあそれは俺も思ったわ
あの電車に俺が乗ってて良かったって
それから…
「多岐くんが庇ってくれた時…俺の彼女って言ってくれて嬉しかった」
俺そんなこと言ったっ…け、
言ったな…はっきり覚えてるわ、言ったわ
何やってんだ俺
「私本当に多岐くんが好きだよ」