私に恋する可能性



「…どうしたの?」


ただ真っ直ぐに俺を見つめて固まっている


その表情からは、昨日のような恐怖が伺える


…まさか


「また…絡まれた?」


昨日の光景がフラッシュバックして思わず駆け寄った


「変な人に絡まれた?どっかに連れて行かれたりしなかった?何もされてない?」



こんな時間にここにいるのは…実行委員会で遅くなったからだよね?


他の理由じゃないよね?


「大丈夫だよね?」


思わず間部ひなたの肩を掴み、視線を合わせる


少しして、その青ざめた口を動かした



「多岐くん…あの…お願いが」


「…何?」


「今日…だけでいいので、電車の中だけでいいので」





「い、一緒に…帰って」


…え?


「私っあの、足が…動かなくて…昨日の…怖くて、多岐くんはっ一緒に帰らないって…前に私に言ってたけど」


…なに、を


「今日だけでいいので…お願い、一緒に…か、帰ってください、私…」



すがるように俺を見上げた


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