私に恋する可能性




『だから帰りは一緒に帰らないよ。ずっとね』


…いつか自分が言った言葉を思い出す




とりあえず間部ひなたは


昨日のアレを思い出して、ここで動けなくなってしまったわけだ

誰かに襲われたりとかではない…



一緒に…帰らないって


確かに俺は言ったけど


「ごめんね、あの、私どうしても…行けなくて」


なんで…謝るんだよ


すがるように、俺を見る間部ひなたの目


俺があんなこと言ったから


…っ、くそ



無意識

…ではなかったか


昨日とは違う

ちゃんと意思を持って

でも思わずって言葉をつけて


思わず、間部ひなたを抱きしめた

引き寄せて自分の胸の中に収める


戸惑ったように体に力を入れている間部ひなた



俺…本当何してんだよ


馬鹿か


何が一緒に帰らないだよ


あの時の自分をぶん殴りたい


俺のせいで間部ひなたが思いつめてる


俺のせいで…傷ついてる



「多岐くん?」


「ごめん…ほんと」

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