私に恋する可能性
「た、多岐くん?」
「はぁ待って本当…無理無理…あれはない」
な、何
どうしたの?
「間部ひなた、あの顔は絶対しちゃダメだからマジで」
フルネームで呼び捨てってめっちゃ変な気分
あの顔って何ですかっ
もうちょっとこの馬鹿にでも分かるように説明してくださいぃぃ
「本当にさ…」
ドキィ!
多岐くんが私の肩に顔を埋めた
「心臓なくなるかと思った」
え、なにそれ
怖っ
「多岐、くん?」
とりあえず今は私が心臓なくなりそうなくらい激しく鼓動打ってるから
血の流れをめちゃめちゃ感じるから
「…ねぇ、なんで茂木が抱きついてたの?」
え、なんでって
私に聞かれましても…
「えと、それは蓮斗くんが…」
「はぁ…ダメでしょ男に抱きつかせたりしたら」
ええ…
「それ多岐くんが言います?」
「俺はいいの、彼氏なんだから」
か、彼氏…
その言葉に再び顔が熱を持ち始める
うぅ…
「だからその顔」
へ?
「その顔ダメだってば」
ええ、どの顔!
「本当、無理だから…可愛すぎてヤバイから」
…へ、は?
い、今なんと
「ねぇ間部ひなた」
えっ
だからなんでフルネームなの!?
「もう少し危機感持ってくれないと困るんだけど」
ご、ごめんなさい?
もー!どうしたの!?
なんか今日の多岐くん甘すぎる!
甘すぎて砂糖出そう
熱でもあるの!?
訳が分からないけど
沸騰しそうだけど
…っ
ただ目の前で
少し困ったように、唇を噛んで、目を細めて
少しだけ熱を持ったような頬をされてしまったら
…心臓がぎゅっとなって
愛しいなって思ってしまう