私に恋する可能性



というか、いいのかなクラス

なんかすごいことになってる気がするんだけど

普段は見ないような多岐くんに驚いて…



そう、驚いた

それから…嬉しかった



「多岐くん」


「…何?」


「あのね…多岐くんが私のこと彼女だって言ってくれたのすごく嬉しかった」


直接熱を感じるこの体勢だけど、言っておこうと思った


自称彼女だって

多岐くんに迷惑だって言われて

結構グサグサ来てたから、あの時ああ言ってもらえたのが

すごく嬉しかった


多岐くんはそんなつもりなかったかもしれないけど

私を彼女だって認めてくれてたことが

こんなにも嬉しいとは思わなかった


「だってひなたは俺の彼女でしょ?」


「うん」



…ねぇ多岐くん


こんな時間も、熱を持った頬も

その全部がすごく大切だと思うのは

私が多岐くんに恋をしているからだよ



多岐くんはどうなんだろう


私を抱きしめてくれるのは

彼女だって言ってくれたのは

触れるところから伝わってくる熱は


私のことを…



…やめよう


その答えを出すのは私じゃない


都合のいい妄想はいくらでもできる



でも

私のどんな理想的な妄想にも

本物の多岐くんの些細な一言が勝る



恋は恐ろしい


こんなにも心の内を支配されてしまうのだから

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