私に恋する可能性
それだけ
あなたの私に恋する可能性が欲しい
「…ひなたはそればっかだね」
太陽がちょうど教室を覗く角度
多岐くんの横顔が太陽に照らせれて窓側の方の目が茶色くなり、金髪の髪が光を受けて輝いている
あの日みたいに
私の目に、脳に、胸に、焼きついて離れない光景
もちろんだよ多岐くん
だって好きなんだもん
大好きなんだから
あなたと出会って『恋』を知ったんだから
不意に多岐くんの口が開いた
「ひなたは本当に俺のことが好きだね」
何を当然のことを言ってやがるんだこの人は
めちゃめちゃ好きに決まってる
今までの私を散々見てたでしょ
初めて会った時から、多岐くんは私の中の決して動かない深いところにいた
どんな噂を聞いても
どんな事実を知っても
諦められないくらい、乗り越えられるくらい
好きになったんだから
深く頷く
しっかり多岐くんを見て
多岐くんの目が少し宙を泳いだ
「…ゲーム目的でひなたに近づいたのに?」
…ゲーム
確かにスタートはそんなんだったけど
「私、前向きなので過去のことはあんまり気にしないんです」
出会いが最悪ってロマンがありそうじゃない?
ありがちな出会い方じゃない
私たちなりのはじめまして
例えゲームが始まりだったとしても
今ここにある私たちの関係に悔いはない