私に恋する可能性
「ひなた」
「ん?」
いつも通りの笑顔で馬鹿みたいに俺を見上げるひなた
そっと距離を詰め、腕の中に収める
「た、多岐くん!?」
「…ん」
ひなたの心臓の音が伝わる
「そっか、運命か」
「?」
そーか
「ふふ」
「多岐くん?何笑ってんの?」
いや、悩んでた俺がめっちゃ馬鹿みたいだなって思っただけだよ
「ひなたは馬鹿だなって思って」
「ええー!?なんでなんで!今なんかいい雰囲気だったのに!」
いい雰囲気ね…
ぷぅと口を膨らませるひなた
思わずそのほっぺを引っ張る
「たひふゅん?」
「ひなた」
「ふ?」
……
純粋に俺をまっすぐ捉える視線
その目が一生俺だけを見ていればいいのにって思ってしまうのは
果てしない重症だ
「好きだよ」