私に恋する可能性
9話 可能性
ひなたside
「それで、思わず逃げ出したと?」
「きゃ、キャパオーバーだったの…」
「ほんっっっとーーに馬鹿」
み、みっちゃああん泣
「好きだって言われたんでしょ?」
うん
「なんで逃げたの?好きになって欲しかったんでしょ?」
…うん
なんで逃げたんだろ
…きっと
多岐くんの言葉を自分の都合のいいように受け取りたかったから
『好きだよ』
の、続きを聞く前に逃げ出した
その『好き』が私と同じものでありますようにと無理矢理願ったんだ
うわあああ泣
間違ってるってわかってたけど、多分あれ以外の選択肢、あの時の私にはない
怖いんだよみっちゃん
多岐くんの好きがずっと欲しかったから
いざそれを手にすると混乱してしまう
要するに私は不器用なんだ
16年目にしてはじめて知った事実