私に恋する可能性



「あのさぁ彼女サン。いい機会だから教えてあげるけどさ」


巻き髪の女の子が私と距離を詰めた


「遥はあんたのこと微塵も興味ないんだよ?好かれてるとでも思ったの?かわいそうに」

「泣いちゃうよー」






「そんなことわかってますよ?」


私の当然でしょうと言わんばかりの顔を見てか
巻き髪の子の顔が歪んだ


「は?」


「多岐くんは私のことなんて微塵も好きではありませんよ、まだ!」


そう!ま・だ!


「そんな簡単に好きになってもらえるなんて思ってません。私はこれから多岐くんと恋に落ちる予定なんです!」


そのために自分ができることを探してる


「私に興味を持ってもらえるように、私と同じ気持ちになってもらえるようにもがいている最中なんです!」


「…はぁ?なにそれ、調子乗ってんじゃん」


うお、さっきと声のトーン変わったよこの人


調子なんて乗ってないとやってらんないよ!


「調子乗ってるって思うなら勝手に思っててください!あなたたちが怖いからって諦められるほど軽い気持ちではないので」


覚悟はあるって何度も言ったんだし!


「いやうざいんですけど…ちょっとは頭使ったら?遥があんたを好きになることなんて絶対ないから。迷惑なのわかんないの?」


少し歪んだ顔でハッと笑う

周りの子たちも私の顔をみながらクスクスと笑う

めちゃめちゃに嫌な感覚だけど、退くわけには行かない


「迷惑…かけないとは言い切れませんが多岐くん自身に切られるまでは頑張るつもりです!
私の取り柄ってそのくらいなので多少の苦痛くらいなんてことない」


真っ直ぐに女の子たちを見た


自分の思いが確かなものであることを伝えられるように


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