私に恋する可能性
「まじうざぁ」
「それな調子乗りすぎ」
「もう行こ」
ふいっと顔を逸らして私の横を通り過ぎていく
…はぁぁ
ずっと張っていた気が緩む
でも、ちょっと気を緩めるのが早すぎたようで…
ドン!
「おわ!」
巻き髪の子が通り過ぎた瞬間、肩に大きな衝撃が走った
気の緩んでいた私はバランスを崩し、持っていた数学のワークをバラバラと落としながら尻餅をつく
カシャンと音を立ててスマホがポケットから落ちた
ぬぅ…ぶつかりやがったな
座った状態で振り向くと
一瞬だけ意地悪な光を持った目と視線がぶつかったがすぐにそらされてしまった
「いこいこー」
「クスクス」
こんのぉぉ…
しかし
そのまま走り去って行こうとした女の子たちの足が止まった
?
「…あ、遥」
遥?多岐くん?
女の子たちの向こう側に
的場くん含め、いつものメンバーと一緒にいる多岐くんを捉えた
こんな時間まで残ってたんだ
「は、遥じゃん!こんな時間まで残ってたんだ!何してたのー?あ、よかったらこのあとカラオケでも行かない?」
さっきとは一変して自分の一応彼氏に迫る女の子に怒らなきゃって思ったけど
それよりも目の前に散らばる数学のワークを早いとこ拾おう