私に恋する可能性
「え、遥!?」
ん?
這いつくばってワークをかき集めていた後ろで
女の子のちょっと焦った声を聞いて振り向く
そこには
多岐くんが女の子たちを通り過ぎて、私の近くに立っていた
座り込んでいる私を見下ろしている
そして足元に転がっていた私のスマホを拾う
「これ間部さんの?」
「そう、です…けど」
「ロック解除して」
?
訳がわからず言われた通りロックを解除する
すると何やら自分の携帯を取り出して作業を始める
謎にしーんとした空間
すると、スッと私の前に出される自分のスマホ
「へ?」
「連絡先、入れといたよ俺のやつ」
…ほ?
「それじゃ、また明日から頑張って」
…うぃ?
「おい、クソ女」
今度は前から
呼ばれた方を見ると散らばっていた数学のワークを綺麗に積んで私に差し出す的場くん
「何してんだよ、重いんだよ。さっさと受け取れ」
え、あ、はい。
言われるがままワークを受け取る
そのまま歩いて行った多岐くんについて去っていく…
…わ、わっとぅ
渡された携帯を呆然と見る
新しい友達のところに1って書いてある
そしてその下に
『多岐遥』
黒猫の写真のアイコン
…えっと
これは、私の携帯に、多岐くんの連絡先が入ってるってこと?
呆然としているのは私だけではなく、目の前で固まっている女の子たちもだ
……え?