私に恋する可能性
「そんなことよりさ」
そんなことより!?
話逸らしやがったなこのイケメン
「ぼーっとしててボール喰らったってまじ?」
え
「き、聞いてたんですか」
「はっきりと」
多岐くんはまたその綺麗な顔を崩して笑った
よく笑うな
「ま、たまにはね?そういうこともありますよね?」
誰だってね?考えふけることはあるさっ
「ねって言われてもねぇ何考えてたんだよ」
!
それはもちろん!
「多岐くんのことです!」
「俺?」
「そうです!隙あらば考えてしまうのが好きな人なんですから!
あ!多岐くん好きです!」
「いつも唐突だね笑」
そらもー
「多岐くんとクラスも違うし、中々会えることはないのでこうやって2人で会うことができた時は貴重なんですよ!
今伝えずどうしろというんですか!」
「はいはい。わかったから落ち着け。また鼻血出るぞ」
あ、安静にしろって言われてたんだ
ベットに腰掛けて靴を履き直す多岐くんの横顔
絵に描いたように長い睫毛のかかる大きめの切れ長の目
何でこんな雲の上の人が…
見惚れるように気が遠くなり、疑問に思っていたことが口から溢れる
「多岐くんは…なんで私と連絡先を交換してくれたんですか?」
気まぐれなのかな
私の言葉にピクッと肩を揺らし、その長い睫毛のかかる目をこちらに向けた
「…その方が面白いかなって思ったから」
面白い、かぁ
…やっぱり、気まぐれってやつだ
「…じゃあその期待に応えられるように頑張りますね」