私に恋する可能性



数人の男の子が目を丸くして私を見る


「え、誰?」

「多岐に用だって」

「え、まってこの子ってあれじゃない?」

「あ!あのゲームの相手?」


げーむ?

多岐くんが私を見た


「え、あ…間部さん…だっけ?」


だっけ?

だっけとはなんだ仮にも彼女だぞ?


「間部ですよ!間部ひなた!あなたの彼女!」


私が自信満々に言うと一瞬教室がしんとして

次の瞬間ざわっとざわめきが広がった

多岐くんとご飯を食べていた男の子たちはなぜか爆笑している


なんだなんだ

何か変なこと言った?

名前?名前が変なの?

いや普通の名前だよ私

はっ!声か?声が変だったのか!?


「俺の彼女ねぇ笑」


なんでそんなに笑いを堪えてるんだ多岐くんは

肩をプルプルと震わせながら私を見る

な、なんじゃ


「で、その彼女さんは俺に何の用?」



「今日一緒に帰ろうって誘いに来たの!」


私の発言にいちいちざわめく周囲

なんかやたら視線を感じるけど、きっとそれは私の声がでかいからだよね


「帰り?いや俺こいつらとカラオケとか寄ったりするし一緒に帰るとかないから」


…はえ?


「おい多岐ーかわいそうだぞぉー」

「多岐きゅんひどぉい」


周囲の男子たちがからかいの声を上げる

なんだこいつらは


「だから帰りは一緒に帰らないよ、ずっとね」


にっこり笑って私を見る多岐くん


……

……




そうなのか!

多岐くんが彼氏ってそういうものか!

お恥ずかしながら間部ひなた、一度も彼氏という存在を手に入れたことがなく、そういうところ結構わからない!

多岐くん系のパーリーピーポーは放課後忙しいものね!

これで学んだ!

彼氏の交友関係を邪魔しちゃあいけない!


「わかった!じゃあ楽しんでね!」


用件はそれだけだったからいっか

軽く手を振って背を向ける


「…は?」

「え」

「まじか」





何か言ってるような気がしたけどまあいいか


教室を後にした

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