私に恋する可能性



ん…


あ、寝てた


目を開けると白い天井


ぼやけた視界がクリアになっていく


頭は…さっきよりはマシか?


とりあえず起きるか



体を半分起こしたところで…動きが止まった



………は?




布団をかけずに上に寝てた俺

そのベットの横で地面に座り込み、腕をベットについて顔を突っ伏して寝ている女子


「…間部ひなた?」


「…ん」


え、ちょ


なんでここにいんの?


てか今授業中じゃねぇの?



思わぬ出来事に混乱してベットの上から動けなくなる

曇ってるからか薄暗い保健室

壁にかかってる時計を見る


やべ、2時間目終わってんじゃん

3時間目に入ってるところか



え、まじでなんでここにいんの?


とりあえずなんとかしてベットの上から降りる


ぺたんと座り込んでいる間部ひなた


えっと…


どうすりゃいいんだこれ



「ん…」


ぐるっと首の向きを変えた


寝顔がバッチリ見える


あとで発狂しそうだなこいつ



…なぜか俺の方を見てスースーと眠る


静かな保健室に響く寝息



無意識に、引き寄せられるように歩み寄る


座り込んでいる間部ひなたの隣に屈んだ



…思ったより綺麗な顔してんだなこいつ


白い肌、高い鼻、長い睫毛のかかる薄いまぶた

それから…柔らかそうな唇





「花火…」


…は?


今花火って言ったよなこいつ


寝言?



なぜかムフフと笑いながら気持ちよさそうに眠る


なに笑ってんだよ変なやつ…フフ



というか、俺こいつに連絡先渡したよな


まああの時はなんかその場の勢いで交換しちゃったけど


こいつ毎日のようにしつこく送ってくるかと思いきや…


何も来ねえ

本当に来ねえ


待ってるわけじゃないけど何のために交換したんだよ俺は



…はあ


何考えてんだか


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