私に恋する可能性
「てかめっちゃ可愛いじゃん!俺タイプなんだけど」
「ゲームなんだから邪魔しちゃダメだってー」
さっきから度々耳に入る『ゲーム』という単語
ゲーム相手
忘れかけていた…
いや、完全に忘れていたそれを思い出した
そうだった
私は…多岐くんのゲームの相手
カレカノゲームの…相手役
多岐くん達がたまたま選んだゲーム相手っていう彼女
…いや、何シリアスになってるんだ私
それでもいいから多岐くんを落とすって言ったのは私じゃないか
自分でそう決めたんじゃないか
ゲームでもなんでもいいから多岐くんの彼女でいたいと願ったのは私自身だ
落ち込む権利なんてない
「なー多岐一緒に回ろうぜ」
「そうじゃん!別にこの子もいていいしさ!」
「いいだろー?」
多岐くんの表情はなんとなく見れなかった
でも…ゲーム相手の私といるよりも
普通に仲の良い友達といた方が楽しいよね
ま、そうだよね
本当は行きたがってなかったし
引っ張り出してきたのは私だし…
『だから帰りは一緒に帰らないよ?ずっとね?』
なぜか今その言葉を思い出した
そして私たちの関係をしっかりと思い出した
私は多岐くんを好きで多岐くんはそうじゃない
という関係を