新 不倫


―――――― 


いつもは豊川さんや僕が得た被害者の声を基に捜査が進む。

でも今回はそれが無い。


その為、関本主任を初めとする仲間達は“セオリー”に従って捜査を進める。


まずは“被害者についての情報”。

そこから、殺害動機を持っていそうな人物はいるか?

それともたまたま被害に遭っただけなのか?


犯人像が見えない初期捜査において、“被害者の情報”は僕達が手に入れる最初の手掛かり。



遺体が見つかって数日、仲間の皆が集めてきた情報が今日も捜査会議で共有される。


「平山夫婦が住んでいる賃貸マンションの管理会社からの証言です。

ここ数ヶ月の間に2回・・

隣人と下の階の住人から1回ずつ苦情が寄せられていたとの事です。」


「その“苦情”ってのは?」


「騒音問題でした。

下階も隣人も、真夜中に響く足音や叫び声にクレームを入れた模様です。」


「・・・それはつまり、平山夫婦には日常的に“夫婦喧嘩”があったという事か?」


「そう考えて間違いありません。」

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