新 不倫


視界からその姿が消えていく・・!


瞬きをした瞬間・・
完全に無くなってしまった・・。


「豊川さん・・!」


「・・・・・・・・・・・。」


煙草をくわえながら小さく首を横に振る。


・・どうやら・・
本当に消えてしまったらしい・・。


「あ~・・物体が無いので追いかけるのは難しいでしょうね。」


「また・・隠れた・・
ということでしょうか・・?」


「・・・・・・。」


「“平山コウスケは犯人じゃない”・・

ただその一言だけ僕達に告げる為に現れたって事ですか・・。

でも、もしそれが本当なら今日までの捜査が全て覆りますよ・・!?」



「良い機会なので、
一つ星野君にお教えしておきます。」


「・・・?」


「これは私の経験則からですが、

とある事件で“認知症”を発症しているお爺さんが殺害される事件がありました。」


「・・・・・・・・・・・。」


「自分の名前はおろか、
家族の顔も忘れてしまい、

食事を取った直後にまた食堂へ向かって“食事はまだか?”と怒り出す。

かなり病気が進行していた方です。」


「・・・・・・・・。」


「しかし私はその方から証言を聞き、
正直に話していると裏付けを取って、

彼が入居していた老人ホームの職員を逮捕しました。」

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