新 不倫




霊視刑事 星野ヨシヒト
********************************************



“事件が解決した後だけは、
誰も喫煙所には近づくな”

セイズ署刑事課の暗黙の了解。


豊川さんが一人籠もって、
毛嫌いしている死者を想う時間。



「一人で来てください。」


だからその着信が来て驚いた。

まさか張本人から呼び出しが来るとは・・。とにかく、急いで階段を駆け上った。





“ガチャリ”


「・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・。」


「お待たせしました。」


いつの日か見た光景と同じように、
その手に煙草は無く、

その背筋は真っ直ぐ伸びたまま、
この街の夜景を見下ろしている。


「こんな時間に呼び出してすみません。」


「いえ、ちょうど調書が出来上がって一段落したところですから。」


「・・・・・・・・・。」


「明日、大河内君の身柄を拘置所へ移します。」


「そうですか。」


「それで・・一体どうしたんですか?」

< 194 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop