新 不倫
「俺はサバとかイワシとか、
光り物が一番好きだなぁ。」
「へ~~でも・・うん。
なんか平山くんはそんな感じがする。」
「安部さんは?」
「え~~~と私はね・・。」
「あ、ちょっと待った。」
「・・・?」
「当てたい。」
「アハッ、じゃあ好きな寿司ネタベスト3、当ててみてっ。」
「・・マグロ?」
「当たり~。」
「・・・エビ?」
「当たり~。」
「・・・・イクラ?」
「すごい!なんで分かったの?」
何の捻りも無いベタな3貫をチョイスする所も、安心感というか安定感があってすごく好・・
「・・・あれ・・?」
「どうしたの?」
「あ、ごめん。なんでもない。」
「なによ~気になるし。」
・・・女性にモテてこなかった自分が、
久しぶりに出会った女性。
“このチャンスを逃してはならぬ”とか、
“もうこれを逃したら次は無い”とか、
“もう良い歳なんだから”とか、
そんな“使命感”なんて関係なく・・
・・・純粋に・・・・
「アッ!」
「え!?ど、どうした?」
「ンッ~~~ワサビが・・・。」
・・ツーンとする辛さに悶絶する姿が、
とっても可愛らしいこの子に・・
変に気を遣う事もなく、
変にカッコつける必要もなく、
くだらない話題で2時間も3時間も喋っていられるこの子に・・
もうすぐ37歳にもなる男がこんな事を言ってもいいのか分からないけど・・
俺・・純粋に安部さんに“恋”してる・・。