新 不倫


七夕になれば、ここにたくさんの出店が配置されるんだ・・。


りんご飴、わたあめ、チョコバナナ、

ベビーカステラ、焼きそば、

たこせん、からあげ・・


奥に構える階段の先、

お賽銭箱に小銭を投げた子供たちが、無邪気にそこを駆け回っていくんだ・・。





「・・・・・・!!!?」



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「だぁぁぁ!!
おっちゃんもう1回!!」


「おとうさんがんばれ~!!」


「おっちゃん!すぐ破れるんだよこれ!
細工してたら承知しねぇぞ!?」

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・・・“お祭り”・・・
呼び起される記憶・・・。


“金魚を飼いたい”・・
そう言った私の為に・・。

“あのおっきいの”
と真っ赤な金魚を指さす私の為に・・




“来いこい来いこい・・・キタ!
よっし・・ってだぁぁぁ・・!?

セーフセーフ!な!?
おっちゃん今のセーフだろ!?”


何度も挑戦してくれて・・

最終的に“ほぼ器ですくう”という反則スレスレの手を使って・・



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「なまえ、きめたの!」


「お、なんて子にするんだ?」


「チコちゃん!」


「チ・・チコちゃん?
・・ダハハ!そうかそうか!

よーしお前は今日から金魚のチコちゃんだ!」


「うん!」


「お!まだポッケに400円入ってた!
なんか食って帰るぞ~!」


「わたあめ~!」

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「・・・ははっ・・・。」


初恋の人との思い出が・・もうすっかり忘れてた記憶が・・蘇った。





















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