新 不倫
「クミコ・・・。」
「・・・うん・・?」
「肝心な・・“形”・・一つ忘れてた。」
「・・・なに・・?」
「“新婚旅行”・・どこ行く?」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・アハッ・・忘れてたね・・。」
「ローマ・・?マチュピチュ・・?
それかエアーズロック・・?」
「“平山夫婦”らしくないね・・。」
「・・・・・だね。」
「大きく1回で済ますんじゃなくて・・。」
「・・・・・・・。」
「色んな所・・
コウちゃんと行きたいな・・。」
「じゃあ・・まずは温泉・・
・・行こっか・・。」
「秋になったら紅葉見に・・
嵐山行こ・・。」
「そういえば俺まだスカイツリー登ったこと無くて・・クミコはあ・・・。」
「・・・zzz…zzz…・・。」
「・・・・・・・おやすみ・・。」
頭が乗っていても全然痛くならない腕。
首筋に感じる寝息。
絶頂のまま夜を越えて、午前0時を迎えてまた新しい日付を刻む。
目を覚ましたら、
笑いながらお互いの寝ぐせ頭を指さして、また一緒にスタートラインに立つ。
・・アラフォーのオッサンがこんな事を言ってもいいのか分からないけど、
日を重ねるごとに、隣で眠る妻への“好き”が強・・・・zzz…zzz…
第3話 完