新 不倫


―――――― 


“天真爛漫”という言葉は言い過ぎだけど、

何を差し置いても第一に、
クミコは明るい女性だった。


例え嫌な事があっても、
職場で何か憂鬱な事があっても、

お風呂に入って、子供の頃から飲み続けているらしいMiloをグビッと飲んで、

朝起きればケロッとして“おはよう”と笑顔を向けてくれる、そんな素敵な女性だった。



だから・・知らず知らずのうちに、
それに甘えていたのかもしれない。


そうやって表面だけしか見ずに、裏側まで見ようとしていなかったのかもしれない。




「・・・・・・・・・・・・・。」


ふと目覚めた真夜中。
やけに広く感じるダブルベッド。


ぼんやりと覚めていく頭が、自分の体しかここに無い事を認識すると、

ゆっくり起き上がってリビングへと向かう。



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