新 不倫
「あ、えっと名前は?」
「あ・・岸本ナオです。」
「えっと、一応部長で3年の元木カナです。よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「それでこちらが顧問の・・・。」
「・・・あ・・中西です。
入部してくれてありがとう。」
中西先生・・。
もしかしたら隅っこのほうに居たのかもしれないけど、
入学式や始業式ではその姿は視界に捉えなかったから、
担任を受け持っているわけではなくて、
教科担当の先生なのかな・・。
「あ・・じゃあ一応この紙にクラスと名前を書いてくださいね。」
再び居眠りを開始した中西先生の代わりに、
元木先輩から“入部希望用紙”と書かれた紙を受け取る。
「これで全員なんですか・・?」
「うん。2年はみんな幽霊部員だから、
昨日まで私一人だけだったんだよ。
でも岸本さんと田中君が来てくれたから3人に増えた。」
元木先輩が窓の外をボ~っと眺めている男子を指さす。
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
窓から私に顔を向けたので、
お互い無言で軽く会釈をする。
クラスは違うけど、
同じ1年生のようだった。