新 不倫


関本主任の号令後、第一発見者の男女のカップルへ話を伺う仲間を横目に・・

僕は早速遺体が横たわる場所へと向かう。



ブランコの横に敷かれたブルーシート。

今日も鑑識帽を真逆に被って、口笛を吹きながらノリノリにビートを刻む・・


「長くん、久しぶり。」


「お、ヨシト君。4時間ぶりっすね。」


強面揃いのセイズ署刑事課において、

僕よりも若い年齢ながら鑑識班を率いる“長くん”こと長野君の隣に立つ。



「綺麗な人っすね。かわいそうに。」


「35・・いや40歳ぐらいかな。」


眼下で仰向けに横になる女性。

長くんがポツリと漏らしたように、

お化粧をしていないスッピン顔だったけど、

“綺麗な女性”という表現が当てはまる被害者が眠るように生気を失っていた。



「死因は頸部圧迫による縊死っす。

首に紐状の索痕があったので、まぁよくある“ロープで首を絞めた”ってやつだね。

解剖時に凶器の太さとか形状についてもう少し詳しく調べるっす。」


「死亡推定時刻は?」


「直腸温度から見るに、
23時~1時の間ってところっすね。」


「“ついさっき”って事か・・。

皆が付近の聞き込みを開始してるから、
誰か不審者が挙がればいいけど・・。」

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