新 不倫
第2章
第2章
証言者 産科医 速水先生
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「・・妊娠20週。平山さん。
今日も赤ちゃん元気ですよぉ。」
「アハッ!ありがとうございます。」
「どうですか?安定期に入って、
マタニティライフ楽しめてますか?」
「はいっ。夫が毎朝ウォーキングに付き合ってくれるんですけど、
なんだか寝起きならではの噛み合ってない会話が毎日面白くて!」
「あ、そうだ。“プレママ教室”、旦那様とご参加されたらしいですね~。」
「はいっ!先生ありがとうございました。
私の友達・・もうみんな経験者ばっかりで周りに妊婦さんがいなかったので・・。
教室でたくさんのママさんとお話出来て、すっごく楽しかったです!」
・・平山さんは、長く辛い不妊治療を乗り越えて赤ちゃんを授かった妊婦さんでした。
平山さんご夫婦の場合は、
検査結果でハッキリと“不妊の原因は母体の問題”という事が分かっていたので、
治療中は余計に辛かったはずです。
“今回も結果は出ませんでした”
“今回も着床しませんでした”
弱りきった体に更に鞭打つようでこちらも気が滅入りましたが、
診察室で経過を報告する度、平山さんの顔つきは暗くなっていく一方で・・。
だから体外受精が成功した時は私もすごく嬉しくて。
それからは打って変わって、平山さんも検診に来る度、顔つきは明るくなっていきました。