新 不倫
産科医の言い訳になってしまいますが・・“切迫流産”というのは予測が難しく、
ほとんどの場合、
症状が出てからの対処になります。
だから私も平山さんご夫婦に説明を続けながら・・よりにもよって何故この人達にと・・
やりきれない悔しさを感じていました・・。
「せ、先生。俺達はどうすればいいんですか!?」
「お腹の中にいる時間が一日でも長いほど、赤ちゃんが助かる可能性は高くなります。
ただ、破水している事を考えると、このまま臨月まで持たせるのは難しいです。」
「・・・・・・・。」
「“24週”・・赤ちゃんの体重が“500”グラムまでいけば、
元気に育つ可能性は50%になります。」
「・・・50%・・・・。」
妊娠継続する場合、絶対安静で即入院。
24週まで持ち堪えて出産にこぎつける。
“安静”というのは、
“歩行禁止”
“食事もトイレも全てベッドの上”
“感染症や陣痛を防ぐ薬を24時間点滴”
“吐き気やダルさ等の副作用を伴う”
“そうして赤ちゃんを出産したとしても、視力障がい等の重い障がいが残る可能性もある”
私が説明を続けている間・・旦那さんのほうは茫然自失となっていました・・。
しかし・・・・
「・・・先生。」
「はい。」
「大丈夫です。私は何でも我慢します。
だからこの子を助けてください・・!
障がいがあろうが何だろうが、
私は・・この子の母親ですから・・!」
涙を堪えながら私を見るクミコさんの力強さに・・圧倒されました。
その日のうちに、その数分の間に、
平山夫婦は“産む”と・・“切迫早産”を受けると決断してくれました。