戦国の魂
「栄か。」

「何かご用にございますか」

「黒田邸を偵察しにいけ。あの謀反は本当に荒木村重に嵌められたものなのか」

「かしこまりました」




黒田邸。来たことがある。むしろ馴染み深い。

長政が生きていることは、織田の家臣のなかで唯一知っている。


城を偵察する。

謀反の気はなさそうだ。やはり村重に嵌められたとみて問題なさそうだ。

「…」

なつかしいなぁ


なつかしんでる場合ではない!

頭を振り、城を後にしようとした、その時。

「さ、栄?」

「っ!?」

咄嗟の事に振り向く。

「…長政」

「帰ってきたのか…?」

「ふんっ そんなわけないでしょうが」

「どこにいってたんだ?」

「私は今信長の家臣なの。」

「信長っ!」

「それじゃあね」

「待て…!」

即座に姿を眩まし、長政の背後に回る。

「私は忍なのよ。あなたの命取ろうと思えば簡単なのよ」

「何するんだ!栄!気は確かなのか」

「私次第であなたは殺せるのよ」

「栄はそんなことしないだろ、わかってるよ」

「あなたはどうしたいの。あなた次第で私を殺すこともできるのよ」

「栄。やめろ。俺がそんなことすると思ってるのか?」

「ふっ」

「また会えるか」

「あのねえ。私が言ったこと、わかってる?私は信長の臣下なのよ。会えるわけないでしょ」

「それなら…」

長政はくるっと栄の方を向くと顎をクイッと持ち上げ、接吻してきた。

「…何を…」

「これが俺の気持ちだ」

「ごめんなさい。答えることはできない。」

私は涙ながらに姿を眩ました。
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