エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜
住む場所確保のために不動産屋でも行ってみようか……いや、今はそんな気分になれない。
「本当、どうしよう……」
ここにきて漫画喫茶で寝泊り……なんて、嫌だ。最初は、アルバイト探すべき?
ボーっとして過ごしていたとこで何も始まらないし、気分転換に散歩に行こう……。
「本当にどうしたらいい……って、ん? 」
外を歩いて公園に入ったあたりに人が倒れてる……?
「……だ、大丈夫ですか⁈ 呼吸はあるから死んではないっ……あ、救急車呼ばなきゃ!」
急いでスマホを取り出して救急車を呼んだ。初めてだからどうすればいいのか分からなくて声を掛けて続けてみる。
「…ん……っ」
「あ、わかりますか……?」
「……」
意識戻って、せめて名前でも分かれば……とにかく早く救急車、来ないかな。
「ありがとうございました。同乗されますか? 」
「あっ! いえ、大丈夫です。よろしくお願いします」
電話して5分ほどで救急車はやって来て知人でもないから同乗は遠慮した。
救急車が走り出すと、力が抜けて座り込んだ。あの人が無事だといいなと思いながら、私は不動産屋に向かった。それが私の人生を変えてしまうだなんて知る由もない。