エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜
「麗央さん、冷蔵庫に昼食あるのでレンジでチンして食べてくださいね! 行ってきます」
「ありがとう……うん、これお小遣い」
あれからすぐに連絡をして……今日はもう、土曜日がやってきた。
「えっ……いただけません!!」
「もらってよ、いつも頑張ってくれるお礼だと思ってさ」
「で、でも……麗央さんの正式な奥さんじゃないですし」
そうだ、私は今試用期間の身だ。麗央さんがどう言っても変わらないんだもの。
「じゃあ、正式に奥さんになる? 結婚すれば良いんだよ……俺は、美唯が好きだよ」
「なれないですっ……!! それにっ……か、からかわないでください! 好きだなんて簡単に、嘘言わないで」
本気じゃないのに好きだなんて言わないでよ……彼はigarAshiの専務様で御曹司。
それにそこの次期社長だと言われている人なんだもん。雑誌にだって、……好きな人がいるって書いてあったもん。
私みたいな、ほとんど一文無しな奴は……出会わない相手だ。
「嘘じゃない。俺は本当に……本気で、美唯が好きだ」
「……行ってきます、五十嵐さん」
“麗央さん”と呼ぶ資格がない気がして五十嵐さんと言い、彼のお金は受け取らずにマンションを出た。