エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜
第一章 人助けをしたら、救世主現れました。
会社が倒産し、公園で人を助けて三日。
あれから働く場所もなく、もちろん住む場所も決まらない……もう妥協して住み込みの仕事でも探してしまおうか。
「いいこと起きないかなぁ」
危機が迫っているのにマンション近くを歩いているのはなんでだろうか、危機感が足らないのか。現実を受け止めたくないのか。
絵梨はもう仕事決まったらしいし……本当に、ヤバイよね。
いい加減、現実を見なきゃダメだよね……。
「例えば?」
「うーん……仕事が降って来たりかなぁ」
「他には?」
「住む場所も、決まって欲しいかも……って、だ、だれ!?」
独り言のつもりだったのに誰かわからない人と話していたなんて……なんてこと。
すっごい恥ずかしいすぎる……!!
「……あぁ、聞きたいことがあって」
「聞きたいこと……ですか? 」
「うん、数日前に俺倒れてたらしくてね救急車呼んでくれた人探してるんだ」
倒れてた? 救急車呼んでくれた人?
それって……。
「……その時の記憶はあるんですか?」
「それが全くなくてね、男性なのか女性なのか、困ってるんだ……お礼したくて」
「あの、それ……私かもです……」
確かにここで人助けたし、救急車呼んだし。
証拠ってほどではないが通話履歴を見せる。こんなんで信じてくれるか分からないけど……。