エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜
「ねぇ美唯、後ろにいるの……五十嵐麗央じゃない? 」
え、こんな場所に麗央さんがいるわけ……? あんな言い方したのに……。
「しかも、イケメン秘書さんもいる!!」
イケメン秘書って……武智さん? だけど今日は、武智さんもお休みだよね。でも、友達だって言ってた気がする……。
「美唯、迎えにきた」
「え、麗央さんどうして……っ?」
振り向くと、麗央さんが目の前にいる。なんで?
これは現実? だけどなんで迎えに来る必要あるんだろう。
「美唯、ごめん……俺は美唯が好きだ」
「え……っ」
「雑誌のはガセネタだよ、婚約者なんていないし好きなのは……美唯ひとりなんだから」
意味が、分からない……しかもこんな場所で、人がいっぱいいる中で言うって。
「美唯ちゃん、俺じゃ麗央の面倒見きれないや……キャパオーバーだよ」
武智さんが言ったことに驚いた……というかなんで麗央さんといるんだろう。
「手に負えないから引き取ってほしい……いいでしょ? 」
私が返事をする前に麗央さんは私を前からぎゅっと抱きしめた。
「来て、美唯……君のことを、家政婦だなんて思ったことないよ」
気付きたくなかった、こんな気持ち。
だけどもう止められない……私だって、好きなんだから。
麗央さんは抱きしめていたのに所謂、お姫様抱っこをして走りだした。
やっぱり好きだなぁ…と思ったのと同時に、もう気持ちを誤魔化していた自分には戻れない。