エリート御曹司と婚前同居。 〜人助けしたら、契約結婚させられそうです〜



「おはよう、美唯」


翌朝、朝食を作り麗央さんを起こしに寝室へ向かう。これも日課となっていた。

麗央さんとごはんを食べると、「美唯、今日最終日だね」と言われて頷く。
バレてないかな、大丈夫かな……。


「帰ったら返事聞くから、大人しく待っていろよ」

「ふふっ……分かったよ、待ってるね」

「あぁ」


嘘をついた。すぐに罪悪感が襲うけど、我慢した。
ここを出て行く、君から消えることを知られたくない。

彼は私にキスをすると、「行ってきます」と言って会社へ出社して行った。

それからちゃんと掃除して、今夜のごはんを作り冷蔵庫へとしまった。炊飯器を夜にセットして置き手紙を書く。

荷物を整理整頓して三ヶ月住み慣れてしまったマンションから出た。


「さようなら、麗央さん……」


黙っていなくなった私を許してください。
どうか、幸せになって……。




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