君と夏。
Episode2. 巡る季節と嫉妬




私は今年で高校2年生になった凛夏。

今年もピンクの花びらが舞い落ちる季節がきた。


体育館にて、


「新入生は……。各学年のクラス表をみて
自分のクラスの教室に移動するように。
以上です。」



結衣「凛夏!今年も同じだね!」

凛夏「んね!嬉しい!」

颯太「俺らも同じなの忘れんなよ!」

女子2人「えーやだー」

颯太「そんな事言うなよ!笑
向葵もなんか言ってやれ!笑」

向葵「うん、嬉しい。」


"ドキッ"


そんな事を携帯を見ながらサラッと言うのは私が長年想いを寄せる人。それもきっと無自覚なのだろう。

女子2人「今年もよろしくね!笑笑」


今日も高鳴る胸を抑えつつ、舞い落ちる花びらに
春が来た事を実感させられる。


向葵と私は小さい頃から家族ぐるみで仲がいい。
いわゆる "幼なじみ" というものだ。


結衣と颯太とは1年生の時に仲良くなってそれ以来4人で過ごしている。

そんな彼らは最近颯太からの告白で付き合う事に
なったばかり、毎日2人からは幸せオーラが溢れている。

私も向葵と付き合えたらなー。と言う妄想を
頭を振ってかき消す。


男子「好きです。俺と付き合ってください。」

凛夏「えっ。私?///」

男子「はい、凛夏ちゃん可愛いし。」

凛夏「あはは笑嬉しいけど
ごめんねー笑でもありがと!これからも
仲良くしようね!」

男子 (可愛い、笑顔かわいすぎるぅ〜。)



教室にて、



結衣「凛夏ってほんとモテるよね〜!
まぁ、めっちゃ美人だしね笑」

凛夏「そんなことないよ!ほんとなんで
私なんだろ〜」

結衣 (無自覚がまた可愛い!)

向葵 (あいつなんで照れてたんだよ。)

颯太「ご飯いこー!」

女子2人「そだね!いこいこ!」

向葵 「……。」


"キーンコーンカーンコーン"


授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響くと
生徒達は掃除を始めたり、各部活に足を運び出す。






放課後


バスケ部の様子


"キュッキュッ" "ピーーッ"


男子1「はぁー、疲れたー。」

男子2「疲れたぁー。」


颯太「そいえば今日も凛夏告白されてたなー」

向葵「あ?あぁ、そうだな。」

颯太「お前は?いつ告白すんの?」

向葵 ブハッ「えっ?なにが?」

颯太「いや、ばれてるから笑笑
隠せてないって笑」

向葵「まぁ、そのうちね」

颯太「はやくしないと凛夏可愛いから
誰かにとられんぞ?笑」

向葵「大丈夫だろ笑笑」


と、余裕な笑みを浮かべるが日に日に可愛くなる凛夏を誰かに取られないかと内心焦りつつある。


"スッ"


乾いた音を響かせ、彼の手を離れたボールは、美しい弧を描きゴールへと吸い込まれていく......。








__帰宅



「ただいまー」


今日も部活で疲れきった体で玄関のドアを開ける。部活と言ってもバレー部のマネージャー。


「ご飯出来てるからはやく着替えてきなさい。」


「はーい」


短い返事をする。




"ドサッ"



ふかふかのベッドに身を任せると、はやくも
深い眠りへ誘われていく。





__数日後



「新しいクラスになって間もないですが、
体育祭の準備を進めていきます。」


(体育祭かー。楽しみだなぁー!)

結衣「体育祭楽しみだねー!」

凛夏「うん!すごい楽しみ!」

結衣「委員会頑張ってね!」

凛夏「うーん。正直やだー」

結衣「まぁまぁ笑笑」

颯太「今年も借り人競争あるけどお題で
好きな人とかあるらしいぞ笑」

凛夏「なんか青春だねー笑」


クラスメイトもその話を聞いて盛り上がりクラス内に明るい笑い声が響く。



__委員会




チャイムと同時に委員会が始まる。隣の席には
奏太先輩が座っている。格好良くて、女子から
とても人気がある。


奏太「凛夏ちゃん!よろしくね!」

凛夏「はい、よろしくお願いします!」

奏太「せっかく部活以外でいい機会があったから
仲良くしようね!」


私は少しだけ微笑んでみせた。



「……などが必要ですので各班で協力して
準備をするように。」



校舎を出た所で、向葵達が待っていた。
足を踏み出そうとした瞬間、誰かに名前を呼ばれた。


振り返ると、奏太先輩がいた。


奏太「委員会の話についてなんだけど、今週の
日曜日とかで大丈夫かな?」

凛夏「大丈夫ですよ!」

奏太「それじゃあ、また日曜日!詳しい事とかは
LINEで決めよっか!」

凛夏「分かりました!じゃあまた!」


校門へと向かう奏太先輩に手を振りながら見送ると、向葵達の元へと足を進める。


向葵「日曜日あの人とどっか行くの?
てか仲良いんだ。」

凛夏「へ?なんで?」

向葵「どっか行くとか笑顔で楽しそうに話してた
から。」

凛夏「あー。委員会のことでちょっとね!」

向葵「へー。」


体育祭を控える中1つの感情が胸の中を
ざわつかせる。



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