極道の彼は子持ちの私に溺愛する
「…私そんなこと知らなかった」
「令にも奏多にもお前に抗争については口出すなと言ってあったからな」
耀生さんは「悪かった」と言いながら泣いている私のことを優しく抱きしめてくれた
前と変わらない私の大好きなにおい
本当にこの彼のにおいが落ち着く
*
1時間ほどが経った
私と耀生さんはリビングにある大きなソファーに一緒に寄り添って律希の写真を一緒に私のスマホでみていた
耀生さんが律希の生まれたころの写真をみているときの表情はいつものヤクザの顔でなく優しい一人の父親の顔をしていた
「…名前」
「え?」
「なんで律希って名前にしたんだ?」
「…いつか忘れたけど、
耀生さんが子どもに名前つけるなら何がいいってきいたときに男の子なら“りつき”って言ってたから」
「覚えてたのか」
いつのことかは覚えてない
何がきっかけでどんな名前にするかと聞いたのかも覚えていない
でもあの時彼が言った
『男なら“りつき”、女なら“つむぎ” だな』