イケメン先生の甘すぎる溺愛
1.甘い放課後
桜も散って、暑くなりつつある日の放課後。
私は今、英語準備室の机に向かって、シャーペンを動かしている。
はずだったーー。
「おい、杏、いい加減本気でやれ」
私の前で、仁王立ちして居るコイツは、高口誠也。
英語教師兼、私の彼氏。
「私はいつでも本気だよ!」
何度やっても、呪文にしか聞こえないのだから、仕方がない。
手を動かそうと思っても、分からなくてすぐに止まってしまう。
日本人なのに、英語を勉強しなくちゃいけない理由が分からない。
「じゃあ、これはなんだ!」
そう言って突き出された紙の右上には、赤ペンで5の数字。
その横には、山倉杏奈と私の字で書いてあった。
「ちょっ!それっ」
「今日のお前の小テストだ」
それはつまり、小テストで私が5点を取ったということを示していた。
もう少し、出来ていると思ってたんだけどなぁ......。
英語以外はできるのに、これだけは身体が受け付けない。
まず、頭に入ってこない。
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