イケメン先生の甘すぎる溺愛
「教頭に残っている事がバレたら面倒なんだから、さっさと行け。お前も怒られたくないだろ?」
本当は、もう少し一緒に居たいけれど、仕方がない。
怒られたくはないし、誠也に迷惑もかけたくない。
荷物をまとめて、帰る準備をして立ち上がった。
「はぁい。仕方ないから帰りまーす。誠ちゃん、また明日ね」
ドアに向かいながら、ヒラヒラと手を振って言う。
その時、ガタッと誠也が立ち上がる音がした。
「杏、これ、忘れもの」
何か忘れたっけ?と思い、振り向くと目の前に誠也がいた。
一瞬で、私の視界にドアップで写った誠也。
次の瞬間、唇に柔らかいものが触れていた。
え?これってーーキス?
そう自覚するまでに数十秒の時間がかかる。
停止していた頭が動き出す頃には、小さくリップ音を立てて、その感触は離れていた。
「気をつけて帰れよ?」
まるで、してやったりと言うような顔の誠也は、ニヤッと笑って私を見た。