イケメン先生の甘すぎる溺愛
前を歩いているふたりを邪魔するつもりも無いので、私の話し相手は樹しか居ない。
無言で歩くのも気まずいので、話を降ってくれている樹に返事をしながら、後を着いていく。
私に合わせてくれているからか、心地がよく、話しやすい感じがした。
それよりもーー。
「羽月の事は“上里さん”なのに、なんで私のことは名前で呼ぶの?」
樹は、初めから私のことを杏奈と呼んでいたから、そういうもんだと思っていたけれど、それなら羽月の事も名前で呼んでいるはずだ。
なんで私だけーー。
「俺は、杏奈ちゃんともっと仲良くなりたいからね」
「私こんな感じだけど......」
塩対応の私と、仲良くなりたいなんて、珍しい人も居るもんだ。
「うん、知ってるよ?」
「......」
変な人ーー、なんて思ってしまう。
そういえば、遊びに行った時も何かと構ってきた記憶がある。
ただ、お節介を焼いているだけかと思ったら、仲良くなりたいからだったのか......。