イケメン先生の甘すぎる溺愛
今更気づいたことに、申し訳なくなる。
「あー、えっと......これからもよろしく?」
なんて言ったらいいのか、分からなくなった私から出た言葉は、そんな言葉だった。
樹は、一瞬ぽかんとした後、ぷっと吹き出した。
「あはは、なにそれ!」
目に涙まで浮かべている。
ーーそんなに面白かったのか。
笑い声を聞いた周りの人からは、なんだろうと見られていたけれど、当の本人は気にした様子はない。
ここまで楽しそうにしてくれるのはいいけれど、なんだか複雑だ。
「あ、杏奈ちゃん危ないよ」
ぼーっと考えていたからか、前から来た人にぶつかりそうになった時、樹にグイッと腕を引かれた。
その勢いで、ふたりの距離が近くなる。
「あ、ありがとう」
背の高い樹を、見上げながら言った。
突然の近距離で、上擦った声が出てしまう。
「どういたしまして」
微笑んだ笑顔が眩しい。
私は逃げるように元の位置に戻った。