イケメン先生の甘すぎる溺愛
かっこいい......。
こんな顔をしてくれるなら、今日来てよかった。
そんな事を思った私は、10分後には後悔することになった。
「ちょ、ちょっと!なんでこのチョイス?」
正面のテレビのスピーカーからは、ぎゃぁぁーと悲鳴が上がっている。
画面の中では、ちょうど斧を持った仮面の男が、人を追い回しているところだった。
「だって、俺が持ってるのホラーしか無いし」
さっき笑った理由が分かったよ。
かっこいいなんて思ってしまった自分を、怒りたい。
そりゃあ、かっこよかったけど、これが理由だとは思わないじゃない。
「でも、映画って言ったのは杏だからな?見ないのか?」
まるで、挑発するような物言いに、私は強がってしまう。
「み、見るに決まってるでしょ」
自分で言っていて、落ち込んでくる。
ホラーは苦手だけれど、こういう時は素直になれず、強がってしまう。
相手が誠也だから、というせいでもあるけれどーー。