イケメン先生の甘すぎる溺愛
4.ふたつの涙
「じゃあ、この文章をーー、中野」
「はい」
私は今、教壇に立っている誠也から目が離せない。
はぁ......かっこいい。
私からは、こんなに熱い視線を送っているのに、一切こっちを見てくれない。
あのデート以来、何故か素っ気ない態度ばかりを取ってくるようになった。
今までも、素っ気なかったけれど、突然キスしてきたり、抱きしめてきたりなどがあったのに、一切ない。
どういうことだろう......。
「ーーくら、山倉!」
「ふぁい!」
考え事をしていたら、呼ばれていたらしく、誠也がこっちを見てため息をついている。
「俺の授業を聞かないとは、いい度胸だな。バツとして、この文を訳しなさい」
黒板に書かれた英文は、ある程度長い。
Iからはじまるから、私はーーだよね?
「わかりません」
うん。
ちょっと考えたけれど、無理だ。
さっぱり分からない。
「......はぁ、山倉は放課後、準備室に来るように。それと、授業聞いとけよ」
「はぁい」