イケメン先生の甘すぎる溺愛
部活をしている人達は既に中にいるから、終わるまで出てくることは無いだろう。
「それで?何があったの?」
「......」
話すつもりはなかったのに、優しく待ってくれている樹に、私はぽつり、ぽつりと溢れ出す不安を話し始めていた。
「か、彼氏がね、最近素っ気ないの......」
「うん、それで?」
タイミングよく相槌を打ってくれるので、話しやすい。
彼氏居たんだ......という樹の呟きは聞こえなかった事にしてスルーさせてもらう。
「人気者だから、周りに可愛い子がいっぱい寄ってくるの......それが、不安だから、くっつかないで欲しいって言っただけなのにーー」
思い出すだけで、涙が溢れて、嗚咽が漏れる。
「わかって貰えないの......勝手に寄ってくるからって」
自分からじゃないことはわかっているけれど、それでも私は嫌だった。
「そっか。その人、杏奈ちゃんの気持ち全然分かってないね。
俺だったら、杏奈ちゃんをそんなに不安にさせないのに......。もし寄ってこられても、離れてって言うから」