イケメン先生の甘すぎる溺愛
この間言われた、この言葉は、消して嘘ではなかったのに、信じるよりも、不安の方が勝ってしまっていた。
なんで、信じられなかったんだろうーー。
あの時は凄く嬉しかったのに......。
「杏、手出して」
「え?」
サッと左手を取られて、次の瞬間、ひんやりした物が指先を通った。
「杏奈ーー、卒業したら、俺と結婚しよう」
一瞬、何を言われているのか分からなかった。
普段、“杏”と呼ぶのに、“杏奈”と呼ばれたことから、真剣だということが伝わる。
私の返事は、もちろん決まっていた。
さっきまで不安だったのが嘘のように、幸せな気持ちが溢れてくる。
いつの間にか、止まっていたはずの涙が再び出てきていた。
もちろん、今度は嬉し涙だ。
「......返事は?」
「っ......よろこんでっ!」
左手の薬指には、キラキラと指輪が輝いていた。
ーーFin