イケメン先生の甘すぎる溺愛


その日の放課後もいつものように、誠也に会うため、英語準備室に行った。



「また来たのか、杏」



誠也は、みんなのいる前では私のことは山倉さんと呼ぶけれど、2人になると杏と呼ぶ。

昔から聞きなれた名前だ。

誠也に名前を呼ばれるだけで、私は嬉しくなってしまう。



「えへへ、いいでしょ別に」


「こんな所にばかり来てたら、友達居なくなるぞ?」


「そんな脅しには乗りませーん。友達いっぱい居るから大丈夫だし、放課後はこっちの方が大事だから」



自分で言うのもなんだけれど、私はクラスの中心にいるような人だ。


友達は沢山いるけれど、誠也と居る時間の方が大切なので、放課後はこうして遊びに来ている。



「こんな所に来ても、楽しくないだろうに」



私だって、誠也が居なければ、こんな所に来ないだろう。


学校の端の方にある英語準備室。

狭くて埃っぽいその部屋は、今は誠也しか使っていないらしい。


本人は1人になれるからと、職員室ではなく、ほとんどをこっちで過ごしているみたいだけれど。

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