もう失うものなんて


-----放課後


「ののー。帰るぞ」

『はるたん!きてくれたんだ!今行く!』

教室のみんなに挨拶をしてはるたんのとこへ行く


これでも私は、割と人気者だ
学校ではうまくやっている


『はるたん!今日どっか寄ってかない??』

「なんか、今日元気じゃね?」


『そ、そうかな???
はるたんといるからかな!!』

「まぁいいけど」

『どこ行く??』


「俺んちくる?」


『へ?????』


予想外すぎて変な声が出た

「だっていつも来たがるだろ?」

たしかにいつもは行きたい。
でもそれは、家に帰りたくないから。

『いや、、、、そぉーなんだけどぉ、、』

俺んちって春の家ってことだよね?
てことはつまり、、、、

『い、いやいやいや。お母さんとか家族とかいるだろうしおジョマするわけにはいかないよ。』

「いや、誰もいないけど」


『あ、そ、そーなんだ』

動揺した

「まぁいやならいいけど」


『いく!いきます!いかせてください!』


「わかったよ。わかったからいくぞ。」


何もなければいい。
ただそれだけの話

ガチャ

『お、お邪魔しまーす』

「誰もいないっつっただろ」

いやいや、誰も居なくても言うでしょ

「二階の右曲がったとこ俺の部屋だから先行ってて」

『うん。』


来てしまった。初めて男の人の部屋に入った。どこ座っていいのかわからないし、、



「なんでそんなとこ座ってんだよ。ここ、こいよ。」

そう言って叩かれたのはベッドの上



結構至近距離で目があってしまった


そらすにそらせなくて


「なぁ、ののって希空と仲いいの?」

『へ???』


予想外すぎてまた変な声が出た


と思った瞬間

チュッ

キスされた


やばいと思ったときにはもう遅かった

「むかつく」
小さな声で言った言葉は
わたしの耳にも届いてしまった



と同時に押し倒された


服の中に手を入れられて


『い、いゃ。やめて!』


恐怖というより

ただ、見られたくなかった。痣を


「希乃??わりぃ。我慢できなかった」

あなたのその言葉に隠された意味を知ってるんだよ



「ごめん。悪かったって。だから、、
 泣くなよ。」

え??泣いてる?わたしが?


『ごめん。今日帰るね?』




そう言って家を飛び出た



家に帰る途中、悲しくなった。


自分でもわかるほど涙が出た


求められていたのは私じゃなくて希空にぃのネタなんだと

私は、誰にも求められてないんだと

比奈子だってきっと、、、、







家についてふと思う


あいつが出張でいなくて良かったと



希空にぃは、部活で帰りは遅い



お風呂に入ってご飯を作って待つ


鏡に立つ自分の姿にため息が出る



こんな姿誰にも見せられない、、、と





「ただいま」

急いで服を着る


バタバタバタ
『おかえり!希空にぃ』


「今日夕食いらないや」


何かあったのかな?
そう思っても聞けなかった


『え?あ、そう、なんだ。
 冷蔵庫入れとくね?』

「ん。」


希空にぃがちょっと冷たかった。
きっと部活で何かあったのだろう


だから、深追いしなかったんだ

それがいけなかった






叩かれない日がなかったから何事もなく眠れるのが幸せなことに感じた


みんなが感じてる当たり前の幸せを







朝起きると


希空にぃはもういなかった


『避けられてる、、かなぁ』


悪いことしたかなぁと思いながら学校の支度をして家を出た



いつも通りひなたんと合流して教室まで行く


一つ変わったことは、はると話さなかったこと。


昨日あんなことがあったからなー、、、。
『いやなわけじゃなかったのに』

ただ、いつか来るのわかってても覚悟できないから明るく振る舞ってただ付き合うだけの遊びだと思ってた


しくじったなぁー


なぜかちょっとだけ寂しく感じた


でも、これ以上いるわけにはいかないから



放課後



はるくんを呼び出した


「話って何?」

「昨日のこと?そのことなら『別れよ?』

「は????」


『わたし顔がタイプだっただけなんだー。
 昨日体求められて気がついちゃったの。
 はるたんに誤解させちゃってるんじゃないかって!だから、もうおしまいにしよ?ね?』


「意味、、わかんねぇ」

はるたんが近づいてくる


『キャッ』

やだ、、んゃ、やめ、、て


「何だよ、、、これ」


『だから、だからいやだったの!
 どうせ、あんただって希空にぃに勝つためにあたしに近づいたんでしょ!そんな奴にあたしを知られたくない!』

そう言い捨てて服を戻して逃げた






、、、はずだったんだけど



何?この状況





「説明しろよ。」


はぃ???



「希空は知ってんのかよ」



『知ってるよ。でも、あんたには関係ないよね?だから、離してよ』


「関係なくねぇーよ。」


『何いってんの?』


「だって俺の彼女だろ?」

ほんと何言ってんの。


「さっき別れたんだけど。
 てか、あんたは何であたしと付き合ったわけ?」

一瞬拘束されてた手が緩んだ




その隙に

「おわぁ、ちょっまてよ!」


『やーだね。じゃ!』


これでも男子に負けないくらい早いんだから!


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