翼のない鳥
図書室と接触と
パラリ、パラリ。
窓から差し込む柔らかな日差しを感じながら、長いこと開かれていなかったであろう本のページをめくっていく。
言わずと知れた、第一図書室である。
ここは平和だ。
静かだし、読書に没頭できる。
蔵書数も多いから、当分退屈することはないだろう。
琴川 律。
転校してから早二週間。
“一度も授業に出ていない男”というレッテルをもらった。
なぜ出ていないのか?
理由は簡単、面倒だから。
美鶴以外の人間と関わる気がないから、美鶴のいない教室にいたってしょうがない。
だから朝のSHRの出欠確認だけしてもらって、あとはほとんどここにこもっている。
休み時間になれば美鶴の様子を見にちょくちょく出ていっているけど、なんだかんだで美鶴もうまく交友関係を築いているみたいだから、口出しせずにただ見守るだけ。
・・・でもま、今日はまだ見に行ってないし、そろそろ2時間目が終わる。
そろそろ美鶴の顔が見たくなってきた。
本にしおりをはさんで立ち上がる。