翼のない鳥
分からない
「失礼しまーす!」
もはや通いなれた生徒会室に入る。
「お!美鶴!はよ!」
「流星くん!おはよう!」
まっさきに声をかけてくれたのは、綿矢 流星 (わたや りゅうせい)くん。
いっつもキラキラ輝く笑顔を向けてくれるから、彼に会うとこっちまで元気になる。
「お、おはよう、ございます・・・」
「あ、静流くん。おはよう!」
どもりながら挨拶してくれたのは、千波 静流 (ちなみ しずる)くん。
気弱なところがあって、いっつもどもってる。
「あれ?律クンも来たんだ。」
赤の瞳を意外そうに瞬かせたのは、神楽 茜 (かぐら あかね)くん。
すっごく色気があって、大人なかんじの男の子だ。
「はい!あ、茜くんは律と同じクラスなんだよね!仲いいの?」
「うーん、律クンと喋ったの、まだ一回しかないからねえ。ま、俺は仲良くなりたいなあと思ってるけど。」
ツ、と彼が視線を動かした先には、私の双子の弟、律。
律は、姉の私から見てもかっこいい。
かっこいいっていうか、綺麗、かな。
普段クールで、無口に無表情を極めてるから、それこそ作り物の人形みたいに見える。
でも、そんな律も、私にだけは微笑みかけてくれる。
それを見るたび、嬉しくなるんだ。
私、律にとって特別な存在になれてるんだって。
ブラコンだなあとよく思うけど。
そんな律の、私を見るときとはまるで違う、温度のない蒼の瞳が茜くんを映し出した。
そして、ふっと首を傾げる。
「僕、お前と喋ったことないと思うんだけど。」