母校でデート
第七話  「本当の再会」


トントントン、トントントン!!

「パパ~、個人面談終わったよお~!」

「ユカ!あぁ、そ、そうかい・・・、え~っ?何?えっ?あっ!
ゆ、ゆ、裕子さん、裕子さあ~ん!」

キョロキョロとクルマの周りを懸命に見渡したけど裕子さんはどこにも
居なかった。

「パパぁ、何言ってんの?ゆうこって誰?誰かと会ってたの~?
ママに言うよお~!」

「い、いや、ちょ、ちょっと待って、待ってくれ~」

「ええぇぇぇぇ~~~~、そ、そんな馬鹿な・・・アレはゆ、夢~?
ち、ちがう、間違いなく一緒だった、裕子さんと一緒だった!?」

「パパ、何ぶつぶつ独り言言ってんの、誰も居ないじゃん?」

しばらく頭の中が真っ白になりパニック状態のまま、ほわぁ~~んと
していたところへ家内が戻って来た。

「ごめん、担任とよく挨拶してきたよ、どうアタマ痛いの大丈夫?」

「えっ?俺、アタマ痛かったっけ?」

「何言ってるの、一緒にユカの個人面談に俺も出るからと言って来たのに、
学校に着いた途端にアタマが痛いから頭痛薬飲んで休んでるって言った
くせに、憶えてないの?」

「あぁ、そうだった、の?・・・、いや、アタマがさ、ボケ~っとしてて
きっと頭痛薬のせいで眠りこけて夢でもみてたのかなあ~??」

「もう~、しっかりしてよねえ!私が担任と色々話をしてきたから、
ユカの進路の話、タカヒロさんも一緒にしないとダメなんだよ~」

「あぁ、悪かったよ」

「パパ、ユカね、県内一の難関校勧められたよ、成績良いって担任に
褒められたんだよ」

「あっうん、そうかぁ・・・うん・・・」

「パパ?ユカの進路の話、真剣に聞かないの?!」

「い、いや、聞いてるじゃないか、もう少し静かに・・・」

「ママぁ~、パパなんかほわ~んとしててオカシイよ」

「パパは前からオカシイとこあるから放っておきなさい!」

「ママ、隣のミナちゃんはね、成績良くないから、滑り止めの私立を
二つも受けるんだってさ」

「ユカは一生懸命に勉強頑張ってきたからね、パパと違ってね」

僕は裕子さんと一緒に母校の周りでデートしたことや校庭のベンチで
一緒にお握りを食べたシーンを想い起こしていたのに、その時の静寂を
破るように、まるで煩いセミがミンミン鳴いてるように聴こえていて、
現実と夢うつつの交錯に翻弄されているようだった。

「ねえ、危ないから後ろの席に移って!私が運転するから!」と家内が
言ったので「あぁ、悪いな~」と言いながら後席に移動した。

家内の運転でクルマは校舎を後に走り始めた、と、その時だった、

「あっ!ああ・あ・あぁぁぁ~~~~!!




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